以前から野鳥撮影用のできるだけコンパクトなカメラが欲しいと思っていた。
現在、「SX70 HS」(610g)を所有しているが、オートフォーカスについては大きく不満がある。
「E-M5 Mark III+75-300mm F4.8-6.7 II」(837g)を一旦購入したが、オートフォーカスその他満足できず売却した。
「SX70 HS」の後継機を期待していたが、なかなか出てきそうにない。レンズ一体型で野鳥撮影に最適な機種が出てくる気配があまりない。
仕方がないので、1kg前後のカメラで、レンズ交換型「EOS R10」+レンズ「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」(APS-C使用時35mm判換算160~640mm)と、レンズ一体型「RX10M4」(35mm判換算24~600mm/F2.4~F4.0)を検討してみた。
どちらも、「SX70 HS」より400gほど重くなる。だが、「EOS R10」は、正面から見たサイズでは「SX70 HS」と大きな違いはない。
「RX10M4」は正面から見ると「EOS R10」に比べてかなり大きい。
「EOS R10」+「RF100-400mm F5.6-8」は、カメラ本体は小さく持ちやすい。鳥認識機能とトラッキング(被写体追尾)機能があるのが大きなポイント。レンズのF値がF5.6~F8で、暗いのが少し残念。APS-C専用でもう少し明るく軽いレンズが出てくれば嬉しい。「RF100-400mm F5.6-8」には、1.4x/2xのエクステンダーを付けることも可能。
「RX10M4」は、F値がF2.4~F4で明るい。焦点距離24mmの広角から600mmの望遠まで1台でカバーできる。だが、鳥認識機能がない。重さは、「EOS R10」+「RF100-400mm F5.6-8」の組み合わせと同程度だが、本体部分がかなり大きく持ちづらい。
ということで、「EOS R10」+「RF100-400mm F5.6-8」を購入することに。
カメラ | センサー サイズ |
有効 画素 数 (万) |
測距 点 |
35mm 判換算 焦点距離 (mm) |
F値 | 総重量 (CIPA 準拠) |
正面 サイズ (mm) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
キヤノン EOS R10 + RF100-400mm F5.6-8 |
APS-C | 2420 | 最大651 分割 最大4503 ポジション |
160-640 | 5.6-8.0 | 1064g (429g +635g) |
122.5 x87.8 |
キヤノン EOS R7 + RF100-400mm F5.6-8 |
APS-C | 3250 |
最大651 |
160-640 | 5.6-8.0 | 1247g (612g +635g) |
132 x90 |
ソニー RX10M4 |
1型 | 2010 | 315 | 24-600 | 2.4-4.0 | 1095g | 132.5 x94 |
OMDS E-M5 Mark III + 75-300mm F4.8-6.7 II |
m4/3 | 2037 | 121 | 150-600 | 4.8-6.7 | 837g (414g +423g) |
125.3 x85.2 |
LUMIX DC-G99 + 100-300mm /F4.0-5.6 II |
m4/3 | 2030 | 49 | 200-600 | 4.0-5.6 | 1056g (536g +520g) |
130.4 x93.5 |
キヤノン SX70 HS |
1/2.3型 | 2030 | 9 ? | 21-1365 | 3.4-6.5 | 610g | 127.1 x90.9 |
「EOS R10」の上位機種「EOS R7」との静止画撮影関連の主な比較は以下。
EOS R10 | EOS R7 | |
---|---|---|
有効画素数 | 2420万有効画素 | 3250万有効画素 |
連写速度 | 最高23コマ/秒 | 最高30コマ/秒 |
測距点 | 最大651分割 最大4503ポジション |
最大651分割 最大5915ポジション |
測距輝度範囲 | EV-4.0~20 | EV-5.0~20 |
ファインダー倍率 | 0.95倍 | 1.15倍 |
モニター | 約104万ドット | 約162万ドット |
手ブレ補正 | × | 5軸手ブレ補正 |
防塵防滴仕様 | × | ○ |
カードスロット | シングル | デュアル |
バッテリー | LP-E17 | LP-E6/E6NH/E6N |
総重量 | 429g | 612g |
「EOS R7」は「EOS R10」と比較して大きく、重い。「EOS R10」は「EOS R7」に比べて、画素数が少ない点とファインダー倍率が低いのが残念。「EOS R10」は手ブレ補正がないが、レンズ「RF100-400mm F5.6-8」には手ブレ補正(最大5.5段分)が付いている。「EOS R7」の場合、協調補正で最大6段分だが、その差はわずか0.5段。「EOS R10」のAF性能や鳥認識は「EOS R7」と同等らしい。
価格は、現時点の最安値で「EOS R10」が115,000円台、「EOS R7」が178,000円台で、63,000円ほどの違い。
軽さ、大きさと価格を考慮して、本体は「EOS R10」にした。
今回、マップカメラで購入。
- EOS R10:115,632円(+安心サービス:5,781円)
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM:81,450円(+安心サービス:4,072円)
- Kenko 液晶プロテクター EOS R10用:870円
- MAPCAMERA ノーマルフィルター(薄枠)67mm:1,680円
- SanDisk SDXC 64GB Extreme PRO R:200MB/s SDSDXXU-064G-GN4IN:2,009円(風見鶏)
「EOS R10」設定(随時見直し)
- ISO感度の範囲:100-32000
- ISO感度オートの範囲:100-25600
- ISOオート時のシャッタースピードの低速限界:1/60
- セイフティシフト:Tv/Av
- シャッター方式:電子シャッター
- AF動作:ONE SHOT / SERVO(ボタンで切り替え)
- AFエリアの限定:
- スポット1点
- 1点AF
- (領域拡大AF)
- 全域AF
- AFエリア:スポット1点AF(⇔全域AFとボタンで切り替え)
- プリAF:しない
- 被写体追尾(トラッキング):する しない
- 検出する被写体:動物優先
- 瞳検出:する
- 追尾する被写体の乗り移り:しない / 緩やか
- ドライブモード:
- 低速連続撮影(最高約3コマ/秒)
- (高速連続撮影(最高約15コマ/秒))
- 電子式フルタイムMF:有効(AF後に手動ピント調整が可能)
- OVFビューアシスト:切 (入)
- 撮影モードガイド:表示しない
【ダイヤル・ボタン割り付け】
- (6)マルチファンクションボタン
- (7)メイン電子ダイヤル
- (8)マルチ電子ロックボタン
- (9)サブ電子ダイヤル:AFエリア選択
- (11)動画撮影ボタン
- (4)マルチコントローラー(中央押しあり)
- (5)AFスタートボタン:ワンショットAF ⇔ サーボAF
- (6)AEロックボタン:ワンショットAF ⇔ サーボAF
- (7)AFフレーム選択/インデックス/拡大/縮小ボタン
- (16)ドライブモード/セルフタイマー選択ボタン
(RF100-400mm F5.6-8)コントロールリング:露出補正
【RF100-400mm F5.6-8 IS USM 特記事項】
- 最短撮影距離:1.2m(100mm時)、0.88m(200mm時)、0.95m(300mm時)、1.05m(400mm時)
- 最大撮影倍率:0.09倍(100mm時)、0.24倍(200mm時)、0.34倍(300mm時)、0.41倍(400mm時)
【実際に使ってみて】
- 「SX70 HS」と比べると、ずっしりと重く大きいが、カメラ本体はコンパクトで持ちやすい。
- EVFのみやすさは「SX70 HS」と同等程度。
- 手ブレ補正(RF100-400mm F5.6-8)はよく効いている。
- 鳥認識と被写体追尾(トラッキング)は、優秀。被写体まで距離があっても、一度捉えるときちんと追尾してくれる。AFに関しては「SX70 HS」や「E-M5 Mark III」とは比較にならないほど優れている。(逆光で、小枝や葉っぱの間にいる野鳥の場合、ピントが合わなくなるケースがある。)
【残念な点】
- 鳥認識と被写体追尾(トラッキング)は、優秀だが、電線の上の鳥などで、一度フォーカスが外れてしまうと再度ピントを合わせるのが難しい。
- 逆光で、小枝や葉っぱの間にいる野鳥のピント合わせがうまくできないケースがある。条件によっては、SX70 HSよりも悪い。
- RAWバーストモードにプリ撮影機能があるが、設定の仕方や撮影した画像の取り出しが面倒。ボタン1つでプリ撮影モードが設定できて、通常の連写の画像と同様に取り出せる方が嬉しい。
- MENUボタンが左にあって、使いづらい。
- 静止画ではデジタルズームできない。
- 低速連続撮影(最高約3コマ/秒)と高速連続撮影(最高約15コマ/秒)の中間がない。出来れば6コマ/秒か8コマ/秒が欲しい。
- 小さな花が集まっている草花の写真や中央に人物の後ろ姿の写真で、中央に全くピントが合っていないことがある。
- 「マルチファンクションボタン」に「AFエリアダイレクト選択」を設定できない(EOS R7ではできる)。「マルチコントローラー」に「AFエリアダイレクト選択」を設定できるが使い勝手が良くない。
- SDカード/バッテリー収納部の蓋の爪がつまみづらくて開けづらい。他のメーカーのカメラではそんなことはない。キヤノンでも「SX70 HS」はバネが付いていて開けやすい。
【SX70 HSと画質比較】
「EOS R10+RF100-400mm F5.6-8」では、35mm判換算640mmまでしか撮影できない。現在所有している「SX70 HS」では、35mm判換算1,365mmまで撮影できる。「EOS R10+RF100-400mm F5.6-8」は、焦点距離において「SX70 HS」の半分以下。被写体までの距離が同じなら、縦横長さが半分以下の大きさでしか撮影できない。
センサーの大きさ、AFの優劣、手ブレ補正の効き具合、レンズ分解能などの違いで、トリミング耐性がどの程度あるか比較してみた。
以下すべて、望遠端で、ISO100で、手持ち撮影。横の長さを1200pxに縮小してある。
結果的には、トリミングして被写体を同一サイズまで拡大してみると、「EOS R10+RF100-400mm F5.6-8」の方が、トリミング比率が高いにもかかわらず、はっきりと画質が良いことが分かる。
→ 被写体が同一サイズになるようにトリミング ↓。
→ 被写体が同一サイズになるようにトリミング ↓。
→ 被写体が同一サイズになるようにトリミング ↓。
【撮影サンプル】
※ Pモード(プログラムAE)、ISOオート、焦点距離400mm(35mm判換算640mm)で手持ち撮影。
焦点距離400mmでF8でも、数メートル以上先の野鳥撮影でも背景は結構ボケる。
焦点距離400mmでF8と暗いレンズなので、PモードでISOオートではシャッタースピードがあまり上がらない。
焦点距離400mmでF8なのと、シャッタースピードの低速限界を1/125秒(後日1/250秒に変更)に設定しているため、比較的明るい場所でもISOが大きく上がる。だが、ISO-2000程度ではノイズは感じられない。(※ 追加撮影の結果、ISO-12800でも、個人的にはノイズはあまり感じられない。以下にサンプル画像あり。)
焦点距離400mmでは、被写体の野鳥までの距離が相当近くないと大きくは撮れないが、手持ち撮影でも手ブレ補正がよく効いて、トリミングしても1200x1200ピクセル程度でのブログの鑑賞には十分耐える。
逆光で黒つぶれしたJPEGでも、GIMPで結構補正が効く。
レンズの手ブレ補正がよく効いているので、距離がある花も手持ち撮影で結構きれいに撮れる。背景もきれいにボケる。最短撮影距離が焦点距離全域を通して1m前後なので、距離を気にせずに近づいても撮れる。
その後の野鳥撮影。暗いところではISOが上がるが、ISO-10000やISO-12800でも個人的にはザラツキなどあまり感じない。
以下はTvモードで撮影。
(↓)ISO感度32000を試してみた。
「R50」も購入。(↓)
※ 「DGPイメージングアワード2022」で「EOS R10」が「審査委員特別賞」、「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」が「総合金賞<交換レンズ部門>」を受賞。