キャッチコピーは「本物のカメラをスマートフォンに」。
特徴は色々あるが、一番大きいのは広角カメラに像面位相差AFを備えた1型のイメージセンサーを採用したこと。更に広角レンズはF2.0とF4.0の可変絞り付き。
望遠や超広角カメラのセンサーは、Xperia 1 III / Xperia 5 III とほぼ同じ。Xperia 1 III / Xperia 5 III と違って望遠は焦点距離50mmのみ。
機種 | メイン(広角) | 望遠 | 超広角 | インカメラ |
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Sony Xperia Pro-I | 12 MP f/2.0-4.0 24mm (wide) 1.0-type 2.4μm PDAF OIS (315 PDAF points 90% frame coverage) |
12 MP f/2.4 50mm (telephoto) 1/2.9" PDAF 2x optical zoom OIS |
12 MP f/2.2 16mm (ultrawide) 1/2.55" Dual Pixel PDAF |
8 MP f/2.0 24mm (wide) 1/4" 1.12μm |
Sony Xperia 1 III Sony Xperia 5 III |
12 MP f/1.7 24mm (wide) 1/1.7" 1.8μm Dual Pixel PDAF OIS |
12 MP f/2.3 70mm (telephoto) f/2.8 105mm (telephoto) 1/2.9" Dual Pixel PDAF 3x/4.4x optical zoom OIS |
12 MP f/2.2 16mm (ultrawide) 1/2.6" Dual Pixel PDAF |
8 MP f/2.0 24mm (wide) 1/4" 1.12μm |
Google Pixel 6 Pro |
50 MP f/1.9 24mm (wide) 1/1.31" 1.2μm omnidirectional PDAF Laser AF OIS |
48 MP f/3.5 104mm (telephoto) 1/2.0" 0.8μm PDAF OIS 4x optical zoom |
12 MP f/2.2 16mm (ultrawide) 1.25μm |
11.1 MP f/2.2 20mm (ultrawide) 1.22μm |
Xiaomi Mi 11 Ultra |
50 MP f/2.0 24mm (wide) 1/1.12" 1.4μm Dual Pixel PDAF Laser AF OIS |
48 MP f/4.1 120mm (periscope telephoto) 1/2.0" 0.8μm PDAF OIS 5x optical zoom |
48 MP f/2.2 12mm 128° (ultrawide) 1/2.0" 0.8μm PDAF |
20 MP f/2.2 27mm (wide) 1/3.4" 0.8μm |
Samsung Galaxy S21 Ultra 5G |
108 MP f/1.8 24mm (wide) 1/1.33" 0.8μm PDAF Laser AF OIS |
10 MP f/2.4 70mm (telephoto) 1/3.24" 1.22μm dual pixel PDAF OIS 3x optical zoom 10 MP f/4.9 240mm (periscope telephoto) 1/3.24" 1.22μm dual pixel PDAF OIS 10x optical zoom |
12 MP f/2.2 13mm (ultrawide) 1/2.55" 1.4μm dual pixel PDAF Super Steady video |
40 MP f/2.2 26mm (wide) 1/2.8" 0.7μm PDAF |
OnePlus 9 Pro |
48 MP f/1.8 23mm (wide) 1/1.43" 1.12μm omnidirectional PDAF Laser AF OIS |
8 MP f/2.4 77mm (telephoto) 1.0μm PDAF OIS 3.3x optical zoom |
50 MP f/2.2 14mm (ultrawide) 1/1.56" 1.0μm |
16 MP f/2.4 (wide) 1/3.06" 1.0μm |
Apple iPhone 13 Pro iPhone 13 Pro Max |
12 MP f/1.5 26mm (wide) 1/1.67" 1.9μm dual pixel PDAF sensor-shift OIS |
12 MP f/2.8 77mm (telephoto) PDAF OIS 3x optical zoom |
12 MP f/1.8 13mm 120° (ultrawide) PDAF |
12 MP f/2.2 23mm (wide) 1/3.6" |
サイズは Xperia 1 III とほぼ同じ。
市場推定価格は19万8000円(税込み)。
Vlog向け機能やアクセサリーも新発表されるなど、全体的には動画指向のカメラ。
動画はほとんど撮らない立場から、スチールカメラとして見ると、「本物のカメラをスマートフォンに」というキャッチコピーにしては、製品として中途半端な気がする。
セールスポイントに、
- 圧倒的な描写力の1.0型イメージセンサー
- まるでカメラのようなシャッターボタン
等が挙げられているが、1.0型イメージセンサーは既に「AQUOS R6」で使われているし、シャッターボタンはXperiaシリーズで以前から使われていたので、「Xperia Pro-I」で特別「本物のカメラ」として進化した点はないと思う。
評価したい点(スチールカメラとして)
"本物のカメラ"として見た場合の残念な点
- 可変絞りが広角カメラのF2.0とF4.0だけで中途半端。
- シャッターボタン以外にも、ズーム、モード切り替え、絞り/シャッタースピード変更、露出補正などの物理的なダイヤルを付けて欲しかった。両手でホールディングしたまま、操作ができる事が望ましい。
- カメラ専用機と考えれば、レンズは中央に配置して欲しい。(スマホとしては使いづらくなるが。)
- 50mm望遠カメラのセンサーが、Xperia 1 III の70mm、105mm望遠カメラセンサーと同じく1/2.9型。Pixel 6 Pro や Mi 11 Ultra の1/2型に比べて小さい。Xperia 1 III の望遠カメラも画質が良いとは言えず、Xperia Pro-I の望遠カメラも画質は期待できない。(参考:α5100+SAMYANG AF 24mm F2.8 のデジタルズームと比較)
- 16mm超広角カメラのセンサーは1/2.55型。Mi 11 Ultra の1/2型や OnePlus 9 Pro の1/1.56型に比べて小さい。
- 望遠カメラが焦点距離50mmだけ。100mm前後も欲しかった。
- マクロ機能がない。(最短撮影距離が分からない。)
- EXIFに35mm判換算焦点距離が書かれない。(Pixel 6 Pro や HUAWEI Mate 20 Pro では書かれる。)
- バッテリー交換ができない。(バッテリーが劣化したら、使えなくなる。)
- カメラ専用機のようにSDカード(microSDではない)を抜き差しして書き込めない。
- ディスプレイパネルが、Xperia 1 III と同じ。輝度が低く日中屋外で撮影しづらい可能性が高い。
できれば、カメラ以外のスマホ機能は取り払って、上記項目を満足できる複眼(多眼)カメラ専用機を作って欲しい。
広角カメラの1型イメージセンサーについての疑問点
セールスポイントとして「ソニー独自の大型1.0型イメージセンサーと高速性能でかつてない撮影品質を実現。」とうたっている。
Xperia 1 III の広角カメラと比較すると次のようになる。
1/1.7型の横サイズは7.6mm。1型の横サイズは13.2mm。
横サイズの比較では、1型は1/1.7型の1.73倍。
画素ピッチの比較では、Xperia Pro-IはXperia 1 IIIの1.33倍。
ということは、1型と1/1.7型ではアスペクト比が違うので、計算が若干違う可能性があるが、実際は1型センサーの77%程度しか使われていないのではという疑問。
Xperia Pro-Iは12MPなので、AQUOS R6と同じセンサー(22.6 MP)だとすれば単純計算で53%、RX100M7と同じセンサー(21MP)だとすれば単純計算で57%しか使われていない事になる。
計算の根拠によって数字が違ってくるが、概ね1型センサーの2/3程度しか使われていないと思われる。
[後日追記]
ネット上でも、実質的には1/1.31インチといった情報がある。そうだとすれば、実質的には「Pixel 6 Pro」の1/.31型(50MP/F1.9)、「Galaxy S21 Ultra 5G」の1/1.33型(108MP/F1.8)と同等サイズ、「Xiaomi Mi 11 Ultra」の1/1.12型(50MP/F2.0)よりも小さいということになる。
gsmarena.com 掲載の写真で確認すると、Xperia Pro-I 広角24mmの実焦点距離は7mm。Pixel 6 Pro 広角24mmの1/1.31型と同じ。ということは、やはりセンサーは実質的には1/1.31インチ程度しか使っていない。
そうなると、ボケに関しても疑問が。
有効口径を計算した結果が以下の表。Xperia Pro-I 広角24mmの有効口径は3.5。Xperia 1 III の24mmの有効口径2.94よりは大きいが、1/1.31型の Pixel 6 Pro 広角24mmの有効口径3.89より小さい。更に、1/1.12型の Mi 11 Ultra 広角24mmの有効口径4.17よりははるかに小さい。
計算上では、Xperia Pro-Iには1型/F2.0の光学ボケは期待できない。
超広角 | 広角 | |
---|---|---|
Xperia Pro-I |
焦点距離:16mm 実焦点距離:3mm F値:2.2 有効口径:1.36 |
焦点距離:24mm 実焦点距離:7mm F値:2.0 有効口径:3.5 |
Pixel 6 Pro |
焦点距離:16mm 実焦点距離:2mm F値:2.2 有効口径:0.9 |
焦点距離:24mm 実焦点距離:7mm F値:1.8 (EXIF) 有効口径:3.89 |
Xperia 1 III |
焦点距離:16mm 実焦点距離:3mm F値:2.2 有効口径:1.36 |
焦点距離:24mm 実焦点距離:5mm F値:1.7 有効口径:2.94 |
Mi 11 Ultra |
焦点距離:24mm 実焦点距離:8mm F値:1.92 (EXIF) 有効口径:4.17 |
|
RX100 M5A (1型 カメラ) |
焦点距離:24mm 実焦点距離:8.8mm F値:1.8 有効口径:4.89 |
|
RX100 M7 (1型 カメラ) |
焦点距離:24mm 実焦点距離:9mm F値:2.8 有効口径:3.21 |