晴歩雨描

晴れた日は外に出て歩き、雨の日は部屋で絵を描く

「Google レンズ」のOCR機能はWindows(PC)でも使える。もちろん無料。

以前、「Windowsでフリーで使えるOCR機能「Google フォト」」という記事を書いた。

この時は、OCR機能を使う方法として、スマホでは「Google レンズ」を使ったが、Windowsでは「Google フォト」を使った。

しかし、Windows版ブラウザChromeでも、「Google レンズ」のOCR機能が使える。「Google フォト」よりも速くて使いやすい。

以下のサンプル画面は、「文春文庫)教科書でおぼえた名文」の中から、夏目漱石の「坊っちゃん」をスキャンしたもの。

スキャンする画像は、以下のように脚注等が付いていると、本文の文字列と混在してしまうので、必要な部分だけを切り取った画像にした方が良い。

この画像ファイルをChromeの画面にドラッグ&ドロップする。

マウスの右ボタンで「Google レンズで画像を検索」を選ぶ。

以下のように右側にスキャン画面が表示されるので、「テキスト」を選択する。次に「テキストをすべて選択」を選ぶ。

「コピー」または「テキストをコピー」をクリック。

コピーしたテキストを任意のアプリにペーストする。

以下がテキスト変換された文字列。残念ながら、ルビが振られているとふりがな文字が本文の中に混在してしまう。


坊っちゃん(中学一年)
夏目漱石
こども 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。 小学校にいる 時分、学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かしたことがあ むやみ る。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理 由でもない。 新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗 いば 談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。 弱虫 やーい。と難したからである。小使いに負ぶさって帰って来た時、 おやじが大きな眼をして、二階位から飛び降りて腰をぬかす奴があ るかといったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。
親類のものから西洋製のナイフを貰って、奇麗な刃を日に翳して
友達に見せていたら、一人が光ることは光るが切れそうもないとい
った。切れぬ事があるか、何でも切って見せると受け合った。 そん
なら君の指を切って見ろと注文したから、何だ指位この通りだと、
さいわい
右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。 幸ナイフが小さいのと、親
きずあと
指の骨が堅かったので、今だに親指は手に付いている。しかし創痕
は死ぬまで消えぬ。
庭を東へ二十歩に行き尽すと、南上がりに聊かばかりの菜園があ って、真中に栗の木が一本立っている。これは命より大事な栗だ。 実の熟する時分は起き抜けに背戸を出て落ちた奴を拾ってきて、学 やましろ 校で食う。 菜園の西側が山城屋という質屋の庭続きで、この質屋に 太郎という十三、四の枠がいた。 勘太郎は無論弱虫である。弱虫 のくせに四つ目垣を乗り越えて、栗を盗みに来る。 ある日の夕方、 折戸の陰にかくれて、とうとう勘太郎を捕まえてやった。 その時勘 太郎は逃げ路を失って、一生懸命に飛びかかって来た。 向うは二つ ばかり年上である。 弱虫だが力は強い。鉢の開いた頭を、こっちの 胸へ宛ててぐいぐい押した拍子に、勘太郎の頭がすべって、おれの あわせ 袷の袖の中に這入った。邪魔になって手が使えぬから、むやみに手 なび を振ったら、袖の中にある勘太郎の頭が、右左へぐらぐら靡いた。